平等院の浄土院に、朝日焼初代の作と伝えられる柴舟の香炉が所蔵されています。
柴舟は、柳や水車、宇治橋とともに宇治川をあらわす情景に描かれたものです。宇治川上流の山で刈られた柴を、束ねて舟で下流へと運ぶのですが、初代の香炉では、その柴の一つ一つが細かく作られており、とても風情のあるものです。
朝日焼では、各代の当主が様々に柴舟をモチーフにした作品を作っておりますが
私も襲名して一番最初に作った香盒が、この柴舟の香盒です。束ねた柴や、苫葺きの屋根の風情がとても侘びたものですので、晩秋のイメージがありますが柴舟そのものは、春の雪解けのあとに一番往来するものだったそうです。
新古今和歌集に寂連法師の歌で
「暮れて行く 春のみなとは知らねども 霞に落つる宇治の しば舟」
というものがあります。
春の宇治川を下っていく柴舟の情景を思い浮かべながらお使いいただけると嬉しく思います。
サイズ 90×40×h40 mm
素材 紅鹿背(宇治の陶土)
釉薬 透明釉
焼成 玄窯(登り窯)
箱 木箱 ※受注後に制作、約二週間
価格 82,500円(税込)