月白釉は、窯の中で火の面前となる温度の高い部分に入って、その魅力的な色を発色しますが、棚の低い方に入れるか、高い場所に入れるかによって、その融け方、色合いが異なります。この酒呑では素地の色を生かすことを意識して、窯の中の棚の高い場所、つまり温度もさらに高くなるのですが、そこで釉薬をよく溶かす作品を狙っています。温度が上がり、釉薬が良く溶けてくると、器上部の釉薬は下部に垂れてきますす。上部は必然、釉薬が薄くなり透けて、水色もほとんどわからなくなります。素地の上に白化粧土を施さず、月白釉のみを掛けた場合、その色は素地の色によって薄いグリーンのようなグレーのような色になります。そこからだんだんと垂れてきた釉薬が厚みを増すにしたがって、水色が濃くなっていき、最下部の釉薬が溜まった部分ではひと際濃い色となります。月白釉の貫入と、上部から下部に掛けて変化するグラデーション。最後の釉薬の溜り。
お酒を愉しみながら、じっくりと味わっていただきたい表情です。
サイズ Φ70×h43 mm
素材 宇治の陶土
釉薬 白土、月白釉
焼成 玄窯(登り窯)
箱 木箱 ※受注後に制作、約二週間
Price 22,000 JPY