月白釉の色合いは、焼成の変化、窯の中の焼く位置、そして釉薬の掛け方・厚みによって大きく変化しますが、もう一つの要素は素地の色です。この酒呑のように素地と釉薬の間に白い化粧土を施すと、その色はより明るく鮮やかな色となります。
そしてこの酒呑の最大の特長が、月白釉に穴が開いているような地肌の素地が見える部分です。前後に3か所あります。これは、釉薬を掛ける際に持った指の跡です。
指の跡。これは、焼物の世界でしばしば景色として賞玩されて来ました。特に茶の湯に用いる茶盌においては、”侘び”た風情として多くの茶盌にその手跡が残されて来ました。
私も月白釉の茶盌の場合、ほとんどの作品で指跡を残します。
そして、それが酒呑のサイズになると指跡の存在感が非常に大きくなります。ですので、うまく嵌ると、さらに魅力的に見えます。この酒呑は、その典型です。月白釉の淡い色合い。そこから白化粧土がのぞきつつ、素地の色とのバランスが絶妙に感じます。
サイズ Φ67×h40 mm
素材 宇治の陶土
釉薬 白土、月白釉
焼成 玄窯(登り窯)
箱 木箱 ※受注後に制作、約二週間
Price 22,000 JPY